かつてランドカジノは、巧妙なイカサマ技術やディーラーの特殊技能に関する話題に事欠きませんでした。
特に、「優秀なディーラーは、狙ったポケットにボールを落とせる」とか「すべては彼らの掌の上で踊らされている」などという話をよく耳にしたものです。
本記事では、本当にそのような技術が存在するのか、現在でも可能なのか、そのあたりを追っかけたいと思います。
狙った所にボールを落とす！ディーラーの神業のウラ側
結論から申しますと、
「"狙ったポケットにボールを落とせる"ディーラーはいたのか？」という問いには「いた可能性はある」と答えるのが精いっぱいでしょう。
神業を可能にする前提：ルーレット台のいま／むかし
現在のルーレットホイールは、完全な均衡を維持するように精密に製造されています。昔のホイールとの特徴的な違いは次の2点です。
- ポケットが浅く（仕切りが低く）作られていて、「ポケットに入ってまた出る」を繰り返し、最終的な落ち着き先がなかなか決まりません。
- ところどころにひし形の「デフレクター」と呼ばれる突起が設けられていて、そこを通るとボールが跳ねあがり、イレギュラーな軌道になります。
つまり、より偶然性が高まる設計となっていて、「何らかの意図」が反映されにくいのです。
ところが、昔のルーレットホイールはそうではありませんでした。
今ほど精緻ではなく、ホイールごとに歪みやクセがありました。また、ポケットが深く（仕切りが高く）作られていたため、一度入った穴から自然に飛び出すことはほとんどなかったようです。
そうした台のクセを理解した上で修練に修練を重ね、「ほぼ狙った穴に落とせる」レベルにならないと一人前のディーラーとは認めてはもらえなかった、といわれています。
とても人間業とは思えませんが、「ボールが止まって見える」という野球選手もいますし、極限までに集中力を高めることで、それを可能にした人がいても不思議ではない気もします。
ルーレットで使われた昔ながらのイカサマ
タイトルを「使われた」としているのは、現在ではほぼイカサマが不可能だからです。
本章では、一昔前ぶルーレットで横行したといわれるイカサマを紹介しましょう。
ディーラー側のイカサマ
特定のポケットに入りやすく（にくく）するために、ポケットを広げる（狭める）というイカサマです。接着剤を使う場合もあったようです。
「ここっ！」っていうタイミングでわずかにホイールを傾けることで、特定のポケットに入らないようにしたり、特定のポケットに入りやすくしたりするイカサマです。
内部にモーターを仕込んだボールを使います。
プレイヤーが狙った数字にボールが入りそうになると、ディーラーがリモコンのボタンを押して振動させ、そのポケットから飛び出すように操作します。
よほどうまくやらないと「ボールが妙な動きをした」と気付かれてしまいますね。
特定のポケットに入りやすく（にくく）するために、あるタイミングで特定の場所に磁気を発生させる方法です。
さて、いかがでしょうか。
いろいろ紹介しましたが、バレるとエライことになりますし、どれもこれも相当熟達する必要がありそうですね。
プレイヤー側のイカサマ
ルーレットの場合、プレイヤーは、ホイールやボールなど肝心の道具に直接触れることができません。従って、ディーラーと結託した場合の間接的なイカサマを除けば、プレイヤーが単独でできる不正行為は限られます。
本章では2つほど取り上げますが、監視の目が厳しい現在では、まず不可能でしょう。
レイトベッティング（パストポスティング）とは、「ボールが落ち着く直前」つまり「結果がほぼ判明してから」ベットを追加または変更する行為です。
ディーラーによる「ノーモアベット」の宣告以降は、ベットに関するいかなる行為も許されませんが、周囲の目を盗んでやれた時代もあったということでしょう。
カジノでベットに使用するチップを、安価な方法で偽造して持ち込む不正もよくあったそうです。そういえば、日本で500円硬貨が登場してしばらくすると、加工された500ウォン硬貨が自販機で大量に見つかる事件が多発しましたね。
現在のカジノでイカサマが通用するのか？
現代のカジノでは、上記で述べたようなイカサマが通用する可能性はほぼゼロに近いといえます。
ディーラー側の昔ながらのイカサマは今でも可能か？
まず、ディーラー側のイカサマについて考えてみましょう。ディーラーがイカサマをするケースは2通り考えられます。
ライセンスを持っていない不法カジノであればいざ知らず、苦労してライセンスを取得し、定期的に監査を受けているような運営会社にとってはありえない話でしょう。
健全に運営しているとの評判が立てば、放っておいても儲かるようになっているのに、発覚したらライセンスはく奪となるようなリスクを犯す意味がないからです。
こちらは、ディーラーがカジノを裏切る場合といえばよいでしょうか。こうした事例は以前けっこうあったと思われ、カジノ側は厳重な監視体制を敷いています。
ディーラーやプレイヤーの視線・表情・振る舞いも、ホイールやボールの動きも、すべてチェックされています。人間がカメラを睨みながら監視しているのなら、抜け・漏れがあるかもしれませんが、AIを始め最新のハイテク技術が見張っています。これらに検知されずにイカサマを行える余地は、まずないでしょう。
プレイヤー側の昔ながらのイカサマは今でも可能か？
次に、プレイヤー側のイカサマについて考えてみましょう。レイトベッティングや偽造チップの使用など、プレイヤーが単独で行うことができるイカサマも、現代のカジノではほぼ不可能です。
レイトベッティング（パストポスティング）は、AIを利用した監視システムにより、まず100％検知されるといってよいでしょう。
偽造チップの使用もまずムリですね。正規のチップには特殊なマーキングやICチップが埋め込まれており、偽造チップが混入してもすぐに分かるようになっています。
ディーラーもプレイヤーもイカサマできないもう一つの理由
現代のカジノでは、ディーラーの振る舞いにある制約が設けられているのですが、いったい何かお判りでしょうか。それは、
「ディーラーはホイールを見てはいけない」というものです。ディーラーはホイールではなく、ベッティングエリアを注視しています。
理由は2つあります。
- 1つは、プレイヤーにイカサマを疑われないためです。
- もう一つは、プレイヤーのレイトベッティング等の不正を監視・牽制するためです。
このように、何重ものイカサマ防止の仕組み・工夫により、現代のカジノの健全性は守られています。
オンラインルーレットはどうなのか？
ここまで、かつてランドカジノ・ルーレットで話題となった、各種イカサマやディーラーの神業について紹介してきました。
一方、今や世界中で人気の広がったオンラインカジノ・ルーレットでは、どのような状況なのでしょうか。
ライブルーレット
ライブルーレットは、実際のディーラーが運営するゲームに、インターネットを介してプレイヤーが参加する形式です。ディーラーとのやり取りもリアルタイムで行われます。
カジノ側は、使用されるホイールやボールを厳しくチェックするとともに、ディーラーはじめ関係スタッフの動きも、カメラによって常時監視しています。プレイヤーもまた、画面を通して、ディーラーの動きを確認することができます。
もちろん、カジノ自体がホイールやボールに細工をするなど不正行為を働く可能性は否定できません。
しかし、すでに述べたように、ライセンスの更新や定期的な監査を受ける必要のあるカジノにとって、健全な運営こそが利益をもたらす仕組みの中で、不正に手を染めるのはあまりにリスクが大きいといわざるを得ないのです。
結局は、ライセンスを持ち監査結果を公表しているような信頼できるカジノを選びましょう、ということになります。
ビデオルーレット
ビデオルーレットは、ルーレットをオンラインゲーム化したものです。
物理的なホイールやボールは使用されず、すべての結果がランダムナンバージェネレーター（RNG）と呼ばれるソフトウェアによって、ランダムに生成されます。
カジノ側による不正行為が考えられるとすれば、このRNGの動きがどうかという点のみです。
信頼できるオンラインカジノは、信頼できるソフトウェア会社の開発したソフトウェアを採用し、かつ、独立した第三者機関による定期的な監査を受けてRNGの公正さを保証しています。結局は、先のライブルーレットと同じく、信頼できるカジノを選ぶということが大前提なのです。
なお、ライブルーレットにしてもビデオルーレットにしてもそうですが、オンラインカジノの場合、ベッッティングは電子的に処理されますから、レイトベッティングや偽造チップの使用など、プレイヤー側のイカサマはそもそも不可能です。
まとめ
昔ながらのカジノ・ルーレットには、様々なイカサマの手法が存在しましたが、現代のカジノではそのような不正行為はほぼ不可能に近いといえるでしょう。ディーラー側やプレイヤー側のイカサマを防止するため、最新の監視技術やセキュリティ対策が導入されているからです。
オンラインルーレットの場合は、ライブルーレットにしてもビデオルーレットにしても、第三者機関による定期的な監査を受けているような信頼できるカジノを選ぶことが肝要です。そのようなカジノであれば、公平性が保証されているといえます
カジノでのルーレットプレイがより安全で公平になることで、この古典的なゲームは新しい時代に適応し、引き続き多くの人々に愛されることでしょう。
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